エンサイ
(ヒルガオ科サツマイモ属)
土壌医 藤巻久志
もの知り百科

沖縄県では「ウンチェー」や「ウンチェーバー」といい、古くから栽培されてきました。サツマイモ属の植物を食害するゾウムシなどのまん延を防ぐため、本土への移動は植物防疫法によって規制されています。不妊虫放飼という方法でウリミバエを駆逐した沖縄県は、近い将来、ゾウムシなども根絶すると思います。
エンサイはサツマイモの葉を細長くしたような葉形で、茎の中は「空心菜」の名前の通り空洞です。秋にはアサガオに似た白い花を咲かせるので「朝顔菜(アサガオナ)」の別名もあります。暑さに極めて強く旺盛に生育するので、青物が少なくなる夏場に重宝されています。
エンサイはβカロテンをホウレンソウや小松菜よりも多く含む緑黄色野菜です。βカロテンは体内でビタミンAに変化して粘膜や皮膚を守り、風邪やウイルス病を予防します。抗酸化作用で老化やがんも予防するといわれています。
青菜炒めは家庭では一般に小松菜やホウレンソウを使いますが、中華料理店ではエンサイを強火でサッと炒めることが多いです。シャキシャキした食感がくせになります。塩・こしょうだけでもおいしく食べられます。おひたしやごまあえ、みそ汁の具など和風料理にも用いられます。調理直後は緑色が鮮やかですが、時間がたつと黒ずんでくるので、早めに食べるようにします。
エンサイは病害虫に強く、プランターでも簡単に栽培できます。成長点の柔らかい部分を摘めば、生でサラダにもできます。新芽の色合いと独特の歯応えが楽しめます。
藤巻久志(ふじまきひさし)
野菜研究家、土壌医。種苗会社に勤務したキャリアを生かし、土作りに関して幅広くアドバイスを行う。