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ピーマン
(ナス科トウガラシ属)

土壌医 藤巻久志
もの知り百科
 ピーマンは完熟すると赤くなり(赤ピーマン)、苦さが少なくなり糖度が増します。
 しかし、甘くておいしい赤ピーマンが店頭に並ぶことはほとんどありません。未熟の緑ピーマンは開花後20~30日で収穫できますが、赤ピーマンはその倍の日数がかかります。株への負担もかかり、収穫量も緑ピーマンの半分以下になります。
 赤ピーマンは、パプリカのように肉厚ではないので、しなびるのが早いです。完熟で収穫するパプリカは、収穫量が少なくても、販売単価が高いので採算が取れます。
 パプリカはもともとハンガリーで栽培されている、香辛料にする平形で小型の赤いピーマンのことでしたが、1993年にオランダ産の大型カラーピーマンが輸入解禁になると、それをパプリカと呼ぶようになりました。
 緑・赤・黄・だいだい・紫・白・黒のオランダパプリカも、赤のハンガリーパプリカも、緑ピーマンも花はみんな白色で、下を向いて咲きます。ピーマンは雌しべが雄しべより長いので、花を下に向けて雄しべの花粉が落ちて雌しべに付いて自家受粉するようになっています。
 ピーマンは熱帯の中南米原産のトウガラシを辛くないように品種改良したもので、日本語では「甘唐辛子」、英語では「スイートペッパー」ともいいます。
 日本には明治時代に導入されましたが定着せず、戦後の食生活の洋風化に伴い普及しました。ピーマンの名はフランス語でトウガラシを意味する「ピマン」に由来しています。
 緑ピーマンは、その苦さや青臭さから子どもが嫌いな野菜の一つによく挙げられています。加熱すると苦さは消えますが、細かく切ると酸素と結合して、加熱しても苦さが残ります。ピーマンを二つ割りにして作る肉詰めは、苦さが少ないのか、子どもも喜んで食べてくれることが多いです。家庭の味として、思い出に残っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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