フェンネル
個性的で爽やかな味と香り
園芸研究家 成松次郎
家庭菜園
地中海沿岸が原産地で、肥大した茎は特徴のある香りがします。主に肉や魚料理に使われ、葉はハーブとして魚の臭い消しにも使われます。生育適温は10~20度で冷涼な気候を好み、耐寒性のある野菜です。栽培が容易な作型は、中間地では7月中下旬から8月下旬に種まきし、晩秋以降に収穫期を迎えます。春まきも可ですが、種まきが遅くなると生育後半の高温長日で花芽が形成され開花します。
品種
株元が肥大するフェンネルには「フローレンスフェンネル」(各社)、または単に「フェンネル」(各社)と呼ぶ品種があります。「ナポリ」(トキタ種苗)は日本で改良され、茎の肥大に優れ作りやすい品種です。スティックタイプの「スティッキオ」(トキタ種苗)は小指ほどの肥大した茎は歯切れの良い食感を楽しめます。
畑の準備
植え付け2週間前に1平方m当たり苦土石灰200gをまいてよく耕します。1週間前に堆肥約2kg、化成肥料(NPK各成分10%)約200gを土とよく混合します(図1)。その後、ベッド幅70~80cmの平畝を作り平らにならしておきます。

種まき・苗作り
苗作りでは、25連結ポットなどのセルトレーに5〜6粒まき、本葉3枚の頃に間引いて1本立ちにし、本葉4〜5枚までポットで育てます(図2)。じかまきではベッド幅70~80cmとし、条間を45cm2条として、株間約25cmで1カ所5〜6粒まきます。じかまきの場合は、種まき後は不織布で覆い、強雨・強風対策をしておきます。

植え付け
ポットで育てた苗はベッドに条間45cm2条、株間25cmで植え付けます(図3)。徒長気味の苗はやや深植えにし、株元を土でしっかり押さえましょう。植え付け後は虫害や強風雨対策に透明寒冷しゃなどのトンネルがけをしておくと安心です。

追肥・かん水
追肥は月に1回、化成肥料を1平方m当たり約50gを与え、土寄せします。畑の乾燥が続くときは、十分にかん水をします。
収穫
収穫は肥大した茎の太さが7〜8cm(約300g)の頃が目安です。夏まき秋冬取りでは約500g(こぶし大)の大きさのものも収穫できますが、取り遅れて裂球しないように注意してください(図4)。


※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています
成松次郎(なりまつじろう)
神奈川県農業技術センター等で野菜の研究と技術指導に従事後、(一社)日本施設園芸協会で施設園芸及び加工・業務用野菜の生産・流通振興に携わる。現在、園芸研究家。