土壌中の力持ち「菌根菌」について
肥料三要素である窒素・リン酸・カリの中で、リン酸の原料であるリン鉱石を、日本は全量海外からの輸入に依存しています。理由は、日本の埋蔵量が実質無いからです。良質なリン鉱石は、近い将来枯渇すると予想され、日本の農業にも深刻な打撃を与えかねません。そこで今回は、最近注目されている植物のリン酸吸収を効率的にする菌根菌の一種「アーバスキュラー菌根菌」についてご紹介します。
菌根菌とは
土壌中の菌根菌は、土の中へ広く菌糸を伸ばし、土壌中の養分、特にリン酸を吸収して植物へ供給しています。見返りに菌根菌は、植物から光合成産物の炭水化物を供給され、植物と互いに助け合う共生関係にあります。マツタケやトリュフなどのキノコ類は、菌根菌の一種です。
アーバスキュラー菌根菌(AM菌)について
アーバスキュラー菌根菌(以後AM菌)は、代表的な菌根菌の一種で、約3億7千年前から共生していることがシダの化石から推測されています。約5億年前に陸上へ進出した植物はAM菌と共生するシステムを進化させ、土壌中で動きの小さいリン酸の効率的な吸収を可能にしたようです。菌糸を植物の根に深く侵入させ、「樹枝状体」と「のう状体」(図1参照)を形成するのが特徴で、土壌中のリン酸のほかに微量要素のカルシウム、マグネシウム、亜鉛などを吸収して植物へ供給し、植物からはアミノ酸や糖類を譲り受けています。多くの植物と共生していますが、アブラナ科やアカザ科、サトイモ科、水生植物とは共生しにくいようです。
なぜAM菌は重要なのか
AM菌の伸ばした菌糸は、根の伸長をしていない広い範囲の土壌中から移動しにくいリン酸を効率的に吸収し、植物へ供給しています。AM菌は、将来リン鉱石の輸入が困難になった時、リン酸の効率的な利用の観点から、重要な土壌微生物となります。同時に水分も供給しているので、作物の耐乾性も向上させます。
AM菌の活用方法

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