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リン酸肥料の効果と種類について

 リン酸肥料は、作物の生育を促進し、収量や品質を向上させるために重要な役割を果たします。肥料の効果を引き出すためには、適切な施肥設計と栽培環境に応じた使い分けが必要です。今回は、リン酸肥料の効果と種類についてご紹介します。

リン酸肥料の特徴

  • 初期生育時の肥料吸収で根の発育を促進させます。根張りを良くすることで、水分と栄養素の吸収効率が高まり、草勢や耐乾性の向上につながります。
  • 果菜類や果樹の花芽分化、開花、着果を安定させます。リン酸が不足すると、開花の遅れや花が咲いても実が付かないなど、生育障害が起こりやすくなります。
  • 根菜類や果実類の肥大と形状の整いに効果があり、品質向上につながります。成熟を早め、色付きや糖度にも良い影響を与えます。
  • リン酸は溶け方に種類があり、肥効の速度に影響します。水溶性リン酸は水に溶けやすく、作物が素早く栄養を吸収できます。可溶性リン酸は水と根から出る酸で溶け出します。く溶性リン酸は水に溶けにくく、根から出る酸でゆっくりと溶け出し、作物に少しずつ吸収されます。不溶性リン酸は水や酸で溶けることはなく、微生物によってゆっくりと分解されます。

使用時の注意点

 リン酸肥料は必要以上に施すと、肥料成分の吸収阻害や菌根菌の生育阻害を引き起こす恐れがあります。使用前に土壌分析でリン酸の量を把握し、適切に与える必要があります。また、有機質肥料や堆肥を合わせて使うことで、肥効の持続が期待できます。

主要なリン酸肥料

肥料名 肥効 特徴
過燐酸石灰 速効性 水溶性リン酸と可溶性リン酸が主成分です。火山灰土壌では土の中の金属と結び付きやすく、堆肥と石灰の同時使用が望ましいです。
トミーネクサス
(亜リン酸)
速効性 亜リン酸肥料は、溶解性と作物体内での移行性(移動のしやすさ)が高いです。また、根腐れ病など、病気の抑制効果が期待できます。
溶成燐肥 緩効性 く溶性リン酸とケイ酸が主成分です。アルカリ性のため酸性土壌の施用が望ましく、火山灰土壌で金属が多く含有していても効果を発揮します。
メリット赤
(ポリリン酸)
緩効性 ポリリン酸は、作物に必要な栄養の保存と光合成を促進する作用があります。日照不足や低温時でも作物の生育を助けることができます。
リンスター 緩効性
速効性
水溶性リン酸とく溶性リン酸が主成分です。pHはほぼ中性でECも低く、土壌のpHとECを変えずにリン酸と苦土を補給できます。
腐植燐 緩効性
速効性
水溶性リン酸とく溶性リン酸、腐植酸が主成分です。土壌の改良や作物の生育を促進し、保肥力の向上や微生物の活性化に効果があります。
苦土重焼燐 緩効性
速効性
水溶性リン酸とく溶性リン酸が主成分です。また、配合されているマグネシウムがリン酸の吸収を助けるため、元肥に適しています。
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