光の力で害虫を防ぐ「光防除」について
松脂を灯し田畑を歩く伝統行事の「虫送り」は呪術的な意味だけでなく、光に集まった害虫を熱で殺す実際的な効果もありました。近年、光に対する昆虫の行動や病原菌の性質について研究が進み、LEDの製造技術も進歩しています。そこで今回は「光防除」についてご紹介します。
害虫の光応答反応
人間の可視光範囲は400~700nmで色覚の三原色は赤・緑・青ですが、ほとんどの昆虫は、可視光範囲が300~400nmで三原色は緑・青・紫外です。夜行性の昆虫は紫外線を多く放射する青色蛍光灯やブラックライトに誘引され、赤色光は見えないといわれています。このような光応答反応を利用し、近年では防除技術も進歩しています。
光による防除例
①赤色光による密度制御
ハウス内で赤色光600~660nmを照射することで、アザミウマ類が飛翔できなくなるほか、作物の緑色を識別することも困難となります。これらの効果により繁殖が抑制され、密度が減少することが研究で確認されています。現在は害虫忌避LEDライトとして製品化されており、イチゴやナス、メロンのハウスで使用されています。

害虫忌避LEDライト
アグリボール
価格:58,752円(税込)
近年の研究で、青色光の使用により、夜間の暗闇に順応して光に敏感になっている夜行性昆虫が、飛翔や産卵活動を一切停止して動かなくなる応答反応が確認されています。また、青色光には、ショウジョウバエ、蚊、ヒラタコクヌストモドキに対して殺虫効果が確認されており、今後の商品開発が期待されています。
③紫色光による天敵誘引
ヒメハナカメムシやタバコカスミカメは、アザミウマ類、コナジラミ類、ダニ類を捕食する有効な天敵で、紫色LED(波長:405nm)に強く誘引される特性が発見されています。ナスの露地栽培で設置した事例では、ヒメハナカメムシやタバコカスミカメが増加し、アザミウマ類の大幅な減少が確認されました。
色による防除例

サンサンネット クロスレッド
目合いの粗い0.8mmの防虫ネットでも織り糸を赤色にすると侵入を防げるようになり、内部を蒸れにくくする効果があります。
210cm✕100m価格:45,940円(税込)
目合いの粗い0.8mmの防虫ネットでも織り糸を赤色にすると侵入を防げるようになり、内部を蒸れにくくする効果があります。
210cm✕100m価格:45,940円(税込)

ラスボスRタイプ
昆虫には、明暗や色彩の差で生じる境界(エッジ)へ飛んでいく視覚行動特性があり、この特性が粘着トラップに活用されています。
100枚入価格:4,935円(税込)
昆虫には、明暗や色彩の差で生じる境界(エッジ)へ飛んでいく視覚行動特性があり、この特性が粘着トラップに活用されています。
100枚入価格:4,935円(税込)