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カメムシ被害による水稲の品質低下について

 夏も本番を迎え、JAあつぎ管内では、水稲の出穂期が近づいています。今回は、管内で多く見られる、斑点米カメムシ被害による着色粒の減少に向けた対策と防除を紹介します。

斑点米カメムシとその被害

 斑点米カメムシ類は、稲穂を吸汁して玄米に黒い斑点を作るため、米の品質低下につながります。神奈川県下では、クモヘリカメムシ・ホソハリカメムシなどが主に発生しています。

 米集荷時における農産物検査で主に格落ちの原因となるのが「着色粒」と「充実不足」です。着色粒については、農産物検査法上1等米の最高限度が0.1%と非常に厳しく、検体の中で1,000粒に2粒以上混入していると格落ちとなります。また、登熟初期の吸汁は充実不足につながり、殻ばかりで実のない籾「しいな」が多くなるため収穫量にも影響します。カメムシ類の被害が多発する出穂期以降はしっかりと防除を行いましょう。

クモヘリカメムシ
(体長15〜17mm)
登熟初期に水田へ侵入して産卵。登熟中期頃にふ化した幼虫が多発する。
ホソハリカメムシ
(体長9〜11mm)
登熟初期に加害されると、子実が吸汁されて籾がしぼんだような様相を呈する。
カメムシ類の玄米被害

斑点米カメムシに吸汁加害されて変色した着色粒の被害は全国で増加傾向にある。

防除適期

夏場における水田周辺でのカメムシ類の行動は以下の通りです。

  1. 出穂期(5割程度出穂):雑草地に生息しているカメムシ類が水田に飛来を始める。
  2. 穂揃期(8割程度出穂):飛来後成虫が産卵を行う。この時期に吸汁されると「しいな」になりやすく収穫量の減少につながる。
  3. 乳熟期(出穂後10日〜15日頃):この時期に吸汁されると斑点米になる玄米が多発する。また、産卵した卵がふ化し始める。

斑点米カメムシ類の発生が多い場合は出穂期〜穂揃期と乳熟初期に防除を行い、発生が少ない場合は乳熟後期に薬剤散布を行いましょう。

薬剤例(2022年6月1日現在)

薬剤名 スミチオン乳剤 トレボン乳剤
希釈倍数 1000倍 2000倍
使用時期 収穫21日前まで 収穫14日前まで
使用回数 2回以内 3回以内
RACコード 1B 3A

雑草対策

 基本的に出穂10日前までには畦畔や休耕地の雑草を除草することが大切です。 この時期までに除草作業が行えなかった場合、出穂期直前における除草は、カメムシ類を水田に呼び込むことになるため、行わないようにしてください。 また、水田にヒエやホタルイなどが多発していると、カメムシ類の生息地になりやすいため、中後期剤の散布が必要です。

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