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営農通信Farming communication

次年度の水稲栽培に向けた土作りについて

 今年度の稲刈り作業が終わり、一息つきたい所ですが、来年の水稲栽培に向けて秋から「土作り」が始まります。今回は、米作りの基本である「土作り」のポイントや作業内容についてご紹介します。

稲刈り後の耕耘について

 稲刈り後の耕耘は、雑草の発生抑制や土作りの効果が期待できるので、秋のうちに行います。なお、再生株(ひこばえ)が大きい圃場では、ロータリーに稲わらが絡み付かないよう、事前に草刈り機等で刈っておきます。すき込み時期が遅くなると、稲わらが翌年の水稲生育期に分解されるため、メタンガスや硫化水素の発生によって、ガスによる障害や酸欠による初期生育の遅れ等が生じる恐れがあります。また、シカやイノシシ、スクミリンゴガイ、雑草対策にもなるため、早期の耕耘をおすすめします。深耕は、15㎝程度が有効的です。水稲の根の大部分は20㎝までにあります。作土が浅いと、根の伸長域が狭くなるため、枯れ上がりや倒伏しやすい状態となり、収量、品質ともに影響を及ぼします。

深耕をすることにより、土壌の排水を良くして稲わら等の有機物の分解を促進します。また、作土から溶脱して耕盤層に集積している鉄やケイ酸などの養分が再び作土に戻り、土が若返ります。ただし、上層の富んだ土が下層に撹拌されるので一度に行わず、徐々に(年2~3cm)目標の深さにするようにしましょう。

土作りのポイントについて

 稲わらは、すき込むことで地力を高め、収量の安定化や天候不良での収量減少を抑えます。また、ケイ酸資材を100~200kg/10a 程度施用すると、根の酸化力が増進され、病害虫や土壌還元に伴う各種阻害物質に対して抵抗性を高められます。特に、老朽化水田ではその施用効果が高くなります。ケイ酸は灌漑水や稲わらからも供給されますが、水稲は1作で約100kg/10aのケイ酸を吸収しますので、適切に施用しましょう。

 また、水稲が生育中に吸収する窒素の6割は「土」からと言われています。約60%は土壌有機物に由来する、いわゆる「地力窒素」で、残り約40%が施肥窒素と考えられています。このため、水稲は無施肥でも地力窒素が効果を発揮するので、ある程度の量を収穫できます。

より多くの収量を確保するには施肥が必要で、「分げつ」を促進し「穂数」を確保するための「基肥」を施用します。また「幼穂形成期」には「もみ数」の減少を抑え、登熟を良好にするための「穂肥」を与えます。このように、施肥によって収量増を図ることは重要な技術です。

一方で、生産の土台である地力窒素の減耗を補い、その他のさまざまな土壌の性質を改善して「水田の生産能力」を大きくすることも、生産のための基礎体力を増進させる貴重な技術です。このように「農地の基礎体力を増進させる」ことが土作りです。水田の土作りは、稲刈り後の今が着手時期です。

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